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風呂から上がると、ティエリアがベッドで安眠していた。
ここ、俺の部屋だよな。マイスターの個室は四つとも同じ造りだから、念のため、開けっ放しのクローゼットに緑のパイロットスーツがかかっているのをちらりと見ることで確認する。やっぱ俺の部屋だ。まずクローゼットが開けっ放しになっている時点で間違いなく俺の部屋である。
ティエリアは布団の上に横たわっていた。しわくちゃになってる掛け布団の上に横向きで丸まっている。眼鏡は掛けたまま、ピンクのカーディガンも着たまんま。もちろん靴も履いたままだがトレミー内を移動するのに足の裏を使うことはほとんどないので構わないっちゃあ構わない。止まる時や向きを変える時に床へちょんと着くだけだ。
俺はバスタオルを腰に巻いただけの格好でしばらく考えあぐねていた。どうやって入ってきたか、は俺がパスを教えた本人なので愚問だ。なぜ入ってきたか、が目下のところ問題である。
思い出したように首へ掛けていたスポーツタオルで髪を拭き、ベッドへ歩み寄りながら、俺はティエリアの眠る横顔を見下ろした。
「……無防備な顔しやがって……」
一人ではどうだか知らないが、少なくとも俺と眠る時、ティエリアは泥のようにぐっすりと眠ってくれることがほとんどない。さんざん身体を酷使してやっても気丈に立ち上がろうとする。単に素肌の触れ合いへ緊張しているだけならかわいいが、そうではなく、未だに俺への警戒心を解き切っていないからである。というか、こいつは多分自分の感情に気付いていない。俺をめちゃくちゃ好きだって。
ところが今、何を目的としてか俺のベッドで眠るティエリアは、俺がベッドへ腰を下ろしても眉一つ動かさないで熟睡していた。頭を撫でてみても起きない。綺麗なこめかみへ食い込む眼鏡を外しても。
俺はティエリアの眦にそっとキスをした。固く閉ざされている瞼と睫毛がくすぐったくてかほんのり震える。ん、と小さい寝息が聞こえ、体を小さく丸め直す。肌寒そうだ。
その時ぎゅっと、ティエリアが腕へ力を込めた。俺がさっき脱いだ服だ。胸元へ丸められている。ティエリアは俺の服を全身で抱くためこんなに小さく体を丸めていたらしい。俺の服はティエリアに握られて多分しわくちゃになっている。
どうしてこれで気付かねぇかな。俺のことがこんなにも好きだって。俺の匂いだけで安心しちまうくらい俺に心底惚れてるって。あと、俺がティエリアをどう思っているかも全然意識してくれない。隠すどころか毎晩明け透けに言葉や態度へ出してるんだが。気付きたくないのか、ヴェーダに入力されていない情報は信じないのか。何なら次に提出するレポートへ追記で書いといてやったっていいんだぞ。
「つーか、どうせ抱き締めるなら俺本人にしろよ……」
絶対俺の方がお得だぜ?
エアコンの温度を二度上げて、俺はティエリアの掛け布団代わりになるべく急いでTシャツに袖を通した。下はどうせそのうち脱ぐから下着だけを穿いておく。
隣に寝転んで背中から包み込んでやると、ティエリアは熟睡しながらふっと笑ったようだった。
ここ、俺の部屋だよな。マイスターの個室は四つとも同じ造りだから、念のため、開けっ放しのクローゼットに緑のパイロットスーツがかかっているのをちらりと見ることで確認する。やっぱ俺の部屋だ。まずクローゼットが開けっ放しになっている時点で間違いなく俺の部屋である。
ティエリアは布団の上に横たわっていた。しわくちゃになってる掛け布団の上に横向きで丸まっている。眼鏡は掛けたまま、ピンクのカーディガンも着たまんま。もちろん靴も履いたままだがトレミー内を移動するのに足の裏を使うことはほとんどないので構わないっちゃあ構わない。止まる時や向きを変える時に床へちょんと着くだけだ。
俺はバスタオルを腰に巻いただけの格好でしばらく考えあぐねていた。どうやって入ってきたか、は俺がパスを教えた本人なので愚問だ。なぜ入ってきたか、が目下のところ問題である。
思い出したように首へ掛けていたスポーツタオルで髪を拭き、ベッドへ歩み寄りながら、俺はティエリアの眠る横顔を見下ろした。
「……無防備な顔しやがって……」
一人ではどうだか知らないが、少なくとも俺と眠る時、ティエリアは泥のようにぐっすりと眠ってくれることがほとんどない。さんざん身体を酷使してやっても気丈に立ち上がろうとする。単に素肌の触れ合いへ緊張しているだけならかわいいが、そうではなく、未だに俺への警戒心を解き切っていないからである。というか、こいつは多分自分の感情に気付いていない。俺をめちゃくちゃ好きだって。
ところが今、何を目的としてか俺のベッドで眠るティエリアは、俺がベッドへ腰を下ろしても眉一つ動かさないで熟睡していた。頭を撫でてみても起きない。綺麗なこめかみへ食い込む眼鏡を外しても。
俺はティエリアの眦にそっとキスをした。固く閉ざされている瞼と睫毛がくすぐったくてかほんのり震える。ん、と小さい寝息が聞こえ、体を小さく丸め直す。肌寒そうだ。
その時ぎゅっと、ティエリアが腕へ力を込めた。俺がさっき脱いだ服だ。胸元へ丸められている。ティエリアは俺の服を全身で抱くためこんなに小さく体を丸めていたらしい。俺の服はティエリアに握られて多分しわくちゃになっている。
どうしてこれで気付かねぇかな。俺のことがこんなにも好きだって。俺の匂いだけで安心しちまうくらい俺に心底惚れてるって。あと、俺がティエリアをどう思っているかも全然意識してくれない。隠すどころか毎晩明け透けに言葉や態度へ出してるんだが。気付きたくないのか、ヴェーダに入力されていない情報は信じないのか。何なら次に提出するレポートへ追記で書いといてやったっていいんだぞ。
「つーか、どうせ抱き締めるなら俺本人にしろよ……」
絶対俺の方がお得だぜ?
エアコンの温度を二度上げて、俺はティエリアの掛け布団代わりになるべく急いでTシャツに袖を通した。下はどうせそのうち脱ぐから下着だけを穿いておく。
隣に寝転んで背中から包み込んでやると、ティエリアは熟睡しながらふっと笑ったようだった。
2009/04/01
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